本山由乃 つきとばら

ことばにゆうれつはない

泥と戦地

毛繕いして軽ぅいうるツヤ髪になりました。

 

 

本日は観劇メモの日です。

 

吉祥寺シアターにて、

俺は見た公演

「泥舟の向かうところ」

を観て参りました。

 

こちら知り合いの先輩俳優殿と、ゴールデン街で遊び歩いてた時の知り合いが出演してらして観に行ったのですが、

演出の方が映像も撮られる方で、

映像作品みのある演劇で面白かったです。

脚本も劇作家協会の新人戯曲集に収録される実力の持ち主の方が書いていて、

 

日常のドラマティックを切り取っていてとてもリアリティがあってよかった。

 

この泥舟、

演劇公演という船である、というのもまた、

私的にとっても現実味があって。

こんな泥舟みてぇな公演ばかりではないんだけど、

たまにこういうことあるよね……が随所にあって、

昨今の小劇場演劇界隈で話題になっている問題なども取り上げられていて身に迫る思いでした。

 

好きな事をやってて、

金にならなきゃ趣味だから。

そろそろ見切りをつけないとな。

あの歳で自主制作しているんじゃ、あいつはもうダメだ。

大人になりきれない演劇馬鹿たちを俯瞰して見ている大人になってしまった人たち。

 

演劇公演に携わっている時間だけが役者になれる、

もう少しだけ、役者でいさせてください。

やれと言われた事が出来なくて、

あなた何年女優やってるんですか。

歳の若いも若くないも関係なく、やりたくてやり続けている大人になれなかった人たち。

 

「私は私だから。」

 

泥舟が沈み行く中で、

何でもなく、

この台詞で作品を〆る。

 

とても沁みた。

 

「私は私だから。」を言えるようになるために、

私は演劇とどう向き合いたいのかを考えさせられた。

 

 

とっても売れたい!というところはとうに過ぎ去ってしまって、

じゃあどうしたいんだよ、

と日々問いかけ続けている。

 

金にならなきゃ趣味なんだから、

趣味を貫き通すのか、

微々たるものでも売り上げるためにどうにかしていくのか、

役者としてのリミットはいつなのか、

とか、

これを小劇場などに出演している役者にやらせるって鬼の所業!と思いつつ、

自問自答し続けているのは皆んな同じなんだろう、とも。

 

死ぬ間際に、

幸せと思えたらいい。

 

 

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紀伊國屋サザンシアターにて

サンライズプロモーション東京企画製作

「My Boy Jack」

こちら、

ジャングルブック」で知られるノーベル文学賞受賞作家ラドヤード・キプリングが書いた詩を元に戯曲化された作品。

 

翻訳劇を久々にしっかりと堪能出来た満足感が凄い。

 

第一次世界大戦で息子を戦地へ送り、

かの息子は初出撃のそのまま行方不明に。

生死不明のまま時は過ぎ、

家族が綻び、また結び直されていく物語。

 

英国の歴史、

帝国主義的な戦時の建前的主張と、

家族としての愛情、

後悔と願い。

 

国の平和(勝利)が正しい道であるという大義と、

家族の平穏が正しい道であるはずという本音と、

その狭間にあった父親としてのキプリング

そしてその板挟みとなり、

戦地へ赴くことでしがらみからの解放を求めた息子のジャック。

 

消息不明の息子に囚われる母と、

誰よりも現実を見つめている姉。

 

全員が正しく、

全員が間違いを犯し、

戦争という獣に飲み込まれていく。

 

今観るに相応しい作品だと思った。

平穏・平和を得るのはこんなにも難しいのか?

 

こんなに苦悩し、崩壊し、また繋ぎ合わせたのに、

この家族のもとに第二次世界大戦という獣がまた立ち上がる。

 

役者も力がとても必要な作品、

出演者の皆様がみんな凄かった。

 

こういうのやってみたいなー。

 

 

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会話がしっかりとした(しないと成り立たない)作品を連続で観て、

それを立ち上げる役者も、

戯曲世界へのめり込ませる演出も、

大変良い作品で幸せ。

 

インプットまだまだしていきます。

 

 

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それではまた。

 

本山

 

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